治療をしながら働ける会社って?体制整備のメリットと従業員を守るための3つの工夫

「もし自分や家族が病気の治療をしながら働きたいと言ったら?」
あなたの会社は、その願いに応えられる体制になっていますか?

多くの方は、ご自身あるいはご家族の予後(病気の見通しのこと)を心配されるかと思います。他にも経済的なことや家のこと、子育てのこと、仕事のことなどたくさんの困りごとが出てきます。

がんと診断されて、治療を始める前に今の仕事をあきらめてしまう方も多いと聞きますが、「治療か仕事か」ではなく「治療をしながら働く」という選択肢を多くの方に考えてもらいたいと思っています。

治療をしながら働くことを支える、というのはがんに限ったことではありません。
脳卒中や心疾患、メンタル疾患、糖尿病など、私たち働く世代にはあらゆる病気に罹るリスクは否めないのです。

みなさんの職場は、治療をしながら働ける環境にありますか?

社員を守ることが企業を強くする!両立支援の意外な効果

治療が必要になったら、社員は辞めざるを得ないのでは?
そんなイメージを持つ経営者や人事担当の方も少なくありません。

でも実は、治療と仕事の両立を支援することは社員を守るだけでなく、企業の力を高める大きなメリットに繋がらいます。
ここでは、代表的な3つのメリットをご紹介します。

1.優秀な人材を守れる

がんや慢性疾患の治療が必要になった社員は、り患しやすい年齢層を鑑みると経験豊富で頼りになる人材であることが多いものです。

もし治療のために辞めてしまえば、ノウハウや人脈が一気に失われてしまうリスクがあります。さらに、代わりの人材を採用・育成するコストは膨大です。

一方で、両立支援の体制があれば「この会社なら働き続けられる」と社員が安心でき、離職防止と人材定着に繋がります。これは長期的に見れば、企業にとって大きなコスト削減です。

2.社員の信頼感とエンゲージメントが高まる

「治療が必要になっても、この会社は自分を支えてくれる」
そう感じられる職場は、社員のモチベーションを大きく高めます。

・会社への信頼感
・仕事へのやる気
・周囲の社員の安心感

これらが高まれば、全体のエンゲージメント向上につなががり、生産性アップにも効果的です。

3.企業ブランド・採用力の向上

いま、多くの求職者が「働きやすさ」や「社員を大切にする会社かどうか」を重視しています。

両立支援に取り組む企業は、

・「健康経営優良法人」などの認定を受けやすい
・企業の社会的評価が高まる
・採用市場での競争力が上がる

といったメリットも得られます。特に人材不足が深刻な時代に、これは大きな強みになります。

治療と仕事の両立支援は、単なる「福利厚生」や「やさしさ」だけではありません。

・人材定着
・生産性向上
・企業ブランド強化

これらの効果をもたらす、未来への投資なのです。


両立支援のための3つの工夫

会社を成長させるとともに企業価値を高めるためには、従業員の健康への配慮が欠かせません。

前述のとおり、働く世代でも治療が必要になるリスクは決して低くなく、治療と仕事を両立できる体制づくりが重要になってきます。

ここでは、企業ができる3つのサポートについてご紹介します。

1.勤務時間や働き方を柔軟にする

通院や副作用の影響で、毎日フルタイム勤務は難しいことがあります。

・フレックスタイム制度で通院時間を確保
・在宅勤務で体調に合わせて仕事が可能
・時短勤務で無理なく働けるよう調整

こうした制度があるだけで、「この会社でなら治療を続けながら働ける」という安心感が生まれます。

2.治療休暇や相談窓口をつくる

有給休暇だけでは治療に十分対応できないこともあります。

・治療休暇の制度化で、必要な時にしっかり休める
・産業医や人事との相談窓口を明確にして、気軽に話せる体制を整える

「相談しても迷惑をかけるだけかも」という不安をなくすだけで、社員の離職リスクは大幅に減ります。

3.社内での周知と理解を広げる

制度があっても、周囲が知らなければ意味がありません。

・社内報や研修で両立支援を周知
・「お互い様」の風土を育てる取り組み

治療をしている社員だけでなく、周囲も安心して協力できる職場をつくることが大切です。



まとめ

治療と仕事の両立支援は、社員にとっては安心して働ける大切な仕組みであり、企業にとっては人材定着やブランド力向上につながる”未来への投資”です。

大がかりな制度を一度に整える必要はありません。
まずは「相談しやすい窓口を作る」「フレックスや在宅勤務など柔軟に対応する」など、できることから始めることが大切です。

小さな一歩が、社員の大きな安心につながります。
そして、その安心が会社全体の力となって返ってくるはずです。

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